肺結核以外の結核の症例

「骨盤腹膜炎(卵管炎)結核」について

女性の生殖器は、外界と膣→子宮→卵管の順に連絡している管状臓器なので、病原体が外部から侵入しやすくなっています。しかも、腹腔内に卵管が開口しているので、卵管に病原体が達すると、腹腔内に炎症が波及して「骨盤腹膜炎」になります。

 

原因としては、クラミジアが最も頻度が高く、注意の必要なのが結核です。そのほか、大腸菌やブドウ球菌、リン菌などが挙げられます。クラミジアは性交によって上行性に感染し、結核は性交と無関係に感染します。

 

骨盤腹膜炎の症状は、腹痛や腹部の不快感などが起こりますが、結核は症状に特徴的なものはありません。他の臓器に結核がある場合は、安易に診断できますが、腹膜炎だけの場合は、ガン性腹膜炎などと区別が難しい病気です。

 

診断は、ツベルクリン皮膚反応によって結核の反応をみて、結核の検査などが行われます。婦人科的な診察では、頸管と腹水の培養によって診断します。治療法は、一般的に、結核の内科的な治療法を行います。基本的には、抗結核薬を6ヶ月投与し、十分な効果が得られず耐性菌の場合は、必要な薬を適宜に追加します。6ヶ月の化学療法が終了した後は3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月後に検査をそれぞれ行います。性器結核で内臓器と強く癒着している場合は、感染巣と考えられる臓器を摘出することもあります。

 

結核によって臓器の癒着がある場合は、不妊症となる可能性が高くなります。ただし、計画通りに抗結核化学療法を受ければ、死に至ることはほとんどありません。